ビブリオバトルの本を出す
ビブリオバトルの本を出す
ビブリオバトルをテーマとした初めての本は、ビブリオバトルの考案者でもある谷口さんによる『ビブリオバトル:本を知り人を知る書評ゲーム』である。
これはビブリオバトルの歴史や機能について説明した新書で、出版当時にもずいぶんと話題になっていた本である。
ビブリオバトルの名前を大きく広めることにもなったし、この本をきっかけにビブリオバトルを知ったという人や、実際にやってみるようになったという普及委員会のメンバーも多い。
ビブリオバトル普及活動の原点となるものであり、ビブリオバトルに関わる人はまず手にとってほしい本である。
たとえばビブリオバトル普及委員会に入会するには、ビブリオバトルの関連本を最低でも1冊以上を読んでいることを求めているのだけれど、そのなかでも谷口さんの本はもっとも重要視した形で注釈付きで説明している。
ビブリオバトルを個人として単に楽しむだけならば、公式ルールを守るだけで良いのだけれど、ビブリオバトルの普及活動に関わるというのは、ビブリオバトルについてそれを知らない他者に対しても説明できないといけないということになる。
ビブリオバトルの歴史的な背景や機能・効果などを完結に説明するには、こういったビブリオバトル関連本を参照するしかないわけである。
こういうビブリオバトルの関連本が登場する以前は、「ビブリオバトルを実際にやっている場面にたまたま遭遇する」「誰かからビブリオバトルに誘われる」など、実際の活動に触れるところからしかビブリオバトルを知ることはできなかった。
けれどもこういったビブリオバトル関連本が出版されることで、「知識としてビブリオバトルというゲームを知っている」という人たちが出てくることになる。
実際のビブリオバトルを見たことがなくても「ビブリオバトルという言葉を聞いたことがある」人が増えれば、「ビブリオバトルをやっている団体を探して参加してみる」という行動にもつながることになる。
ビブリオバトルの関連本を出すということは、その先の未来でビブリオバトルを楽しむ人を増やすことにもつながってくる。それまで直接には手の届かなかった人にも、本を通して触れることができる。
既にビブリオバトルの誕生から15年目、ビブリオバトル普及委員会ができてからも12年目となっている現在、全国各地に普及活動の実績も積み重なっており、さまざまな新しい楽しみ方も生まれている。
草の根運動として広まっているビブリオバトル普及活動を支えるものの一つは、こういった関連本をいかに世の中に出していくのか、ということも考えなければならない。
それぞれのタイミングで、「ビブリオバトルについてこういう切り口の本があったほうがいいんじゃないか?」という相談をして、さまざまな関連本が生まれてきている。
ビブリオバトルの楽しみ方のアイデアは、みんなと共有したほうが、ビブリオバトルを取り巻く環境がより豊かなものになっていくことになる。
これまでのビブリオバトル関連本
これまでに出されたビブリオバトル関連本は、ビブリオバトル普及委員会が公式サイトにまとめている。
これまでの関連本を時系列でリスト化すると、以下のようになる。
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谷口忠大著『ビブリオバトル:本を知り人を知る書評ゲーム』文藝春秋、2013年4月 https://calil.jp/book/4166609017
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吉野英知、須藤秀紹、大谷裕、谷口忠大監修、ビブリオバトル普及委員会編著『ビブリオバトル入門:本を通して人を知る・人を通して本を知る』情報科学技術協会、2013年6月 https://calil.jp/book/4889510494
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粕谷亮美著、谷口忠大監修、しもつきみずほイラスト『ビブリオバトルを楽しもう:ゲームで広がる読書の輪』さ・え・ら書房、2014年3月 https://calil.jp/book/4378022273
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ビブリオバトル普及委員会編『ビブリオバトル ハンドブック』子どもの未来社、2015年4月 https://calil.jp/book/4864121001
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谷口忠大監修『コミュニケーションナビ 話す・聞く①:やるぜ!ビブリオバトル』鈴木出版、2016年1月 https://calil.jp/book/4790233138
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谷口忠大マンガ原案・監修、沢根千尋マンガ、粕谷亮美文『マンガでわかる ビブリオバトルに挑戦!』さ・え・ら書房、2016年3月 https://calil.jp/book/4378022281
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須藤秀紹、粕谷亮美編『読書とコミュニケーション:ビブリオバトル実践集』子どもの未来社、2016年6月 https://calil.jp/book/4864121109
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木下通子著『読みたい心に火をつけろ!』岩波書店、2017年6月 https://calil.jp/book/4005008550
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読みたい心に火をつける!実行委員会編『学校司書のいる図書館に、いま、期待すること』日本図書館協会、2017年10月 https://calil.jp/book/4820417118
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谷口忠大著『賀茂川コミュニケーション塾:ビブリオバトルから人工知能まで』世界思想社、2019年12月 https://calil.jp/book/4790717372
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吉岡裕子、村上恭子監修『図書委員アイデアブック』あかね書房、2020年1月 https://calil.jp/book/4251078039
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益井博史著『ソロモン諸島でビブリオバトル』子どもの未来社、2020年5月 https://calil.jp/book/4864121672
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木村修平、近藤雪絵著『英語でビブリオバトル実践集』子どもの未来社、2021年2月 https://calil.jp/book/4864121885
ビブリオバトルの基本的なところを解説しようとするものや、学校現場(授業や学校図書館)における実践事例集、海外での事例や英語によるビブリオバトルなど、それぞれの著者ならではの多様な切り口でビブリオバトルが語られていることがわかる。
このほかにも、ビブリオバトルを創作のテーマとした物語の出版や、国語科の教科書に掲載される事例も増えてきている。
私自身も、2013年の『ビブリオバトル入門:本を通して人を知る・人を通して本を知る』、2015年の『ビブリオバトル ハンドブック』、2016年の『読書とコミュニケーション:ビブリオバトル実践集』の3冊に事例や考察を寄稿している。
これらの出版はビブリオバトルの知名度を高めつつ、全国各地で実際に取り組んでもらうことを期待している。
大会形式のビブリオバトルが目に付きやすく、記事にもされやすいということもあって、「ビブリオバトルは難しそう」という声が聞かれることも多いのだけれど、実際にやってみればとても簡単なゲームだということがわかるし、ぜひみんなにも「自分の好きな本について語ることができて、その話をみんなに聞いてもらえる」という体験をしてみてほしいと思っている。
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