新年のご挨拶を書かない年末

ビブリオバトル普及委員会の公式ウェブサイトには、「代表よりメッセージ」というページを設けている。毎年の1月1日にメッセージを更新してきた思い出を振り返る。
岡野裕行 2021.12.27
誰でも

代表のお仕事をする年末

このニュースレターは2021年6月にビブリオバトル普及委員会の代表を辞めたタイミングで始めている。6年間務めてきた代表のお役目を外れたことで、これまでのビブリオバトルで見聞きしてきたことや体験してきたことを書くつもりで始めたものである。2021年6月21日に第1回目を配信して、定期的にビブリオバトルのことを考ながら毎週1回ずつ更新を続けてきた。

そしてここ数年は、年末の時期に代表としての大事なお務めがあった。代表からのメッセージ欄を元旦に更新するというお役目である。
https://www.bibliobattle.jp/aboutus/message

その年にごとに話題になったビブリオバトル関連の取り組みに触れながら、新しい年の抱負を書いている。代表を6年務めたので、これまでに6回書いていることになる。その年ごとの注目したいできごとや、ビブリオバトルについて考えたこと、新しい年への展望を総括的に振り返っている。年に一度の大事な機会で、毎年のように広がっていくビブリオバトルの普及状況を感じながら、その年ごとの空気感を記録として残したいと考えながら、年末の時期に文章を書き進めてきた。1月1日付で公開するために、だいたい年末のこの時期にその年を振り返って文章を書いていた。大学生の全国大会の本戦が例年12月の半ばから第3週あたりの週末になることが多くて、それが終わったくらいの時期に文章を書き始めている。

過去の文章を振り返って読んでみると、それぞれの年に行われた高校生・大学生の全国大会、ビブリオバトル・シンポジウム、Bibliobattle of the Yearの話題が目につく。個別のビブリオバトルの開催事例には触れていない。個別の事例はビブリオバトル普及委員会を代表しての挨拶の場では取り上げづらいということとと、全国規模の大会やシンポジウムのほうが話題にしやすいからだろう。また、これらの事業は実際に自分も実行委員や司会として関わってきたものなので、代表理事という視点だと全国規模のできごとが自分にとってのビブリオバトル体験になっていたということでもある。

ビブリオバトル・シンポジウムも既に企画としては2020年をもって終了し、2021年からはBib-1グランプリに移行してしまった。ビブリオバトル・シンポジウムについては、初回の2014年は谷口さんが代表だった時代のものだけれど、ほぼ私が代表理事を務めていた時代に企画として歴史に残されていくのだと思う。毎年のように「今年のビブリオバトル・シンポジウムのテーマはどうしようか、誰に実行委員長をお任せしようか」と頭を悩ませていたことが懐かしく思える。

代表のお仕事をしない年末

けれども今年の年末は、既に代表理事を退任しているため、代表としてのコメントを求められることもなくなった。1年間の動向を総括しながら新しい年への展望を語るというのは、代表理事にのみ与えられたお仕事である。より広い視野でビブリオバトルの普及状況と展望を考えるというものであり、1年を締めくくりながらも次の1年に期待を持たせる文章を書かなくてはいけなくて、「この1年のビブリオバトルってどうだったんだろう」という思考の癖がついたのは、間違いなく代表理事としての新年のご挨拶を書いたことによるものである。

代表理事を退任し、そういうお仕事から解放されてみると、その年ごとの動向を改めて言語化するという意識がやや薄れていることに気がつく。1年ごとにビブリオバトルを総括するということは、必要に迫られたからこそ形にできていたことでもあったと思う。代表という立場が、ビブリオバトルに関わり続けてきた自分の思考を形づくる要素になっていたと思う。成り行き任せではあったけれど、代表理事のお役目をいただけてほんとによかったなと改めて感謝を。

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