ビブリオバトルの主催者になること

ビブリオバトルについての取材を受けることがある。取材が入るような注目されやすいビブリオバトルは大会形式(イベント型)であることが多い。発表された本や発表した人が注目されるだけでなく、そういう場をつくった主催者にも関心が寄せられる。
岡野裕行 2021.11.15
誰でも

ビブリオバトルの取材を受ける

ビブリオバトルの実施後に取材を受けることがある。取材はまずはチャンプ本を獲得したバトラーに対して行われるが、そのビブリオバトルを企画した主催者に対しても取材コメントが求められることもある。

ビブリオバトルでは「紹介された本」についての関心があり、「その本を紹介した人」に対しても関心が向けられる。「人を通して本を知る/本を通して人を知る」というキャッチコピーのとおり、発表した人からもっと本の話を聞いてみたいと思わされる。

ビブリオバトルを企画することのおもしろいところは、これに加えて「ビブリオバトルという場をつくった主催者」にも関心が寄せられることである。主催者自身もバトラーとして参加するような小規模なビブリオバトル(コミュニティ型と呼ぶ)もあるけれど、大会形式のビブリオバトルの場合(イベント型と呼ぶ)は主催者が裏方(企画・運営)に徹することが多いため、ビブリオバトルの発表の場には主催者が登壇しないことも珍しくない。「自分がビブリオバトルを楽しみたい」「ビブリオバトルで発表したい」という気持ちと、「誰かにビブリオバトルを楽しんでほしい」「登壇する機会をつくりたい」「人が集まって本の話をする場をつくりたい」という気持ちは異なるわけである。

いわゆる「本好き」の人には、本を読むことや探すことが好きという人もいれば、本を読む/本について語る他人の姿が好きだったりする人もいるだろう。「ビブリオバトルが好き」というのも、「発表をすることが好き」という場合と、「主催することが好き」という人がいる。

私自身はイベント型のビブリオバトルの主催者側に回ることが多くて、これまでにも三重県の高校生ビブリオバトル大会などは初期の頃(2013年)から関わってきたし、大学生や高校生の全国大会の司会も数年間担当させてもらっている。過去には愛知県や鳥取県の高校生大会にも、大会の総括コメントの役目として呼ばれたこともある。大会として開催する場合は関係者の人数も多くなるし、滞りなくイベントを進行するために入念な準備も必要になってくる。

ビブリオバトルの主催者になることの意味

ビブリオバトルの大会に取材が入る場合、当然ながらチャンプ本を取ったバトラーを始めとした登壇者側にまずは向かっていく。紹介した人への興味、紹介された本への関心が取材対象となる。その流れで、主催者側には「ビブリオバトルを開催することの意義・目的・効果」などが尋ねられることが多い。こういったビブリオバトルを開催することの理念を問いかけることも大事なところだと思う。ビブリオバトルを単純に楽しむことももちろん大事なことなのだけれど、ビブリオバトルの普及活動というところを意識するようになると、ビブリオバトルに取り組むことにどういう意味があるのかを言語化しておかなければならない。

個人的な関心として、「本について語り合う場をつくる」というところが好きな分野でもあるので、私にとってのビブリオバトルというのは「誰かが本について語る」というところを裏方として支えるところを大事にしたいと思っている。

本を読むことは楽しい。そして「誰かが本について語る場をつくる」ことも、本についてのおもしろい活動のひとつなのであり、ビブリオバトルの大事な要素でもある。

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