ビブリオバトルを誰とどこでやるのか

ビブリオバトルは一人ではできない。ほかの誰かと楽しむゲームである。誰とどこでどんな風にビブリオバトルを楽しみたいのか、そういった環境の問題も考えておきたい。
岡野裕行
2021.10.11
誰でも

ビブリオバトルを誰とやるのか

ビブリオバトルは一人ではできない。発表するための「本を読む」とか「内容を考える」など、準備をする段階では一人で行うものだけれど、ビブリオバトルを実際に行うときには、戦う相手が何人か同じ場所にいるから成立するゲームである。

だからビブリオバトルをするには、それを一緒に楽しむ人を探さないといけない。しかし、一対一の対決形式ではビブリオバトルが勝負として成立しないため、基本的には自分を含めて三人以上の人数を集めることが必要となる。

ビブリオバトルをやろうとするときに、それに賛同してくれる仲間(対戦相手)をどこで見つけるか、という問題は常につきまとうことになる。

ビブリオバトルの仲間はどこにいるのか。

一つには、既に仲良くなっている自分の友だちに声をかける方法がある。既にあるコミュニティ内でのビブリオバトルというのは、プライベートな友人関係のなかで誰かが「ビブリオバトルをやろう」と声を出すところから始まることになる。自分から声をかけることもあれば、周りの誰かに誘われることもあるだろう。学校のなかで(授業や学校図書館で)行われているビブリオバトルもこれに含まれる。

もう一つは、ビブリオバトルの開催にあたって参加者を広く募ることで、まだ知らない人を誘ってみる方法である。事前には参加者がわからなくなるが、ビブリオバトルを通じて知り合いになることができるため、開催によって交友関係を広げていくことができる。

ビブリオバトルで戦う相手がいるというのは、それによって仲間が増えるということでもある。既に仲の良い友達とビブリオバトルによってさらに理解が深まることもあれば、ビブリオバトルをするまでは顔も知らなかった誰かとも仲良くなることができる。

「ビブリオバトルを誰とやるのか」という問いは、「誰が語る本の話を自分は聞いてみたいのか」ということであり、「誰に対して自分が考える本の話を届けたいのか」ということにもつながってくる。「本を通して人を知る」というキャッチコピーに記された「人」という言葉には、自分自身を知ることと他者を知ることの両方の意味が含まれることになる。

ビブリオバトルをどこでやるのか

ビブリオバトルをするには、それをどこで実施するのかという問題もある。ビブリオバトルをするにはお互いの発表をする/発表を聞くためにふさわしい場所が必要になる。

ビブリオバトルをやろうと思ったときに、どういった場所で行うかという視点も必要になる。やるための場所が決まれば、そこに参加する人の顔ぶれも変わってくるため、場所選びは楽しくビブリオバトルをするためにも重要な要素となる。

また、場所を見つけてからビブリオバトルをやろうと思い立つこともある。数人が座って落ち着くことができて、お互いに言葉を交わすことに支障がない空間が必要である。声を発することに支障がなく、集中して話を聞くことができて、しかもお互いの声をちゃんと聞き取れるような距離感で落ち着くことができる。カフェやオフィス、教室などで実施されるビブリオバトルが多く見られるのはそういう実施条件を満たしているためだろうし、通常では静かな環境が求められる図書館や書店などでも、ゾーニングをしてイベント形式で実施することも珍しくはない。

参加者が喋り言葉でコミュニケーションを取り合うゲームであるため、お互いの声が聞き取れるような環境がビブリオバトルには求められる。参加者が言葉を発しやすく、言葉を聞き取りやすい空間が求められる。1時間近く座っていてもお尻が痛くならないような座る場所(椅子・クッション・床・畳)もほしい。没頭して本を読むことも、誰かの話を聞くことも、どちらも自分の身体的な行為なので、ストレスなくその場に居続けることができる環境も重要である。

ビブリオバトルは誰かに言葉を届けることであり、誰かの言葉に寄り添うことである。本を書いた人(著者)の言葉、本を読んだ人(発表者)の言葉、本の話を聞いた人(参加者)の言葉がビブリオバトルを通じて混ざり合っていく。そのためには、安心して身体を落ち着けることができる場所が必要になってくる。

「ビブリオバトルをどこでやるのか」という問いは、どういう場所ならば安心して言葉を届けられるかを考えることでもある。「紹介したい本があればどこでもビブリオバトルはできる」けれども、どこだったら相手に届きやすいのかを考えることも必要である。

本を紹介する側とされる側のそれぞれの立場で気持ちよく言葉を交わし合いたい。

昨今はビブリオバトルもオンライン化が進んでいる(この話はまた別途考えてみたい)。そうなると、コミュニケーションが「声を届ける側」(送信側)と「声を受け取る側」(受信側)の環境の組み合わせで成り立っていることが理解しやすくなっている。良い音質での送信(マイク)/受信(スピーカー)の機材がそれぞれに必要になっていることがわかる。

これは対面でのやり取りも似たようなもので、「言葉を届けやすい空間」とはどういうところなのかを考えておきたい。

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