ビブリオバトルを知る

ビブリオバトルを実際に楽しんだり普及活動に関わったりする前に、そもそもビブリオバトルというゲームの存在を知るきっかけがある。誰にでもある。ビブリオバトル普及委員会の代表理事を務めた私にもそういう瞬間がある。「ビブリオバトルって何?」という疑問が湧いてきてそれに好奇心を抱く。本に関わる取り組みはおもしろい。本について語り合うことは楽しい。そんなことを考えるようになったときの思い出を振り返る。
岡野裕行
2021.06.21
誰でも

ビブリオバトルを教えてくれた人

ビブリオバトルというゲームを私が初めて知った日付は、記録としてはっきりと残っている。2010年6月27日にツイッターを介してその存在を認識したのである。今から約11年前のことだ。ツイート主は岡部晋典さんという人で、彼は私の母校である図書館情報大学の後輩にあたる。

この日に岡部さんがこんなツイートをしている。私はこれをタイムラインでふと目にしたのである。

ビブリオバトル会場なう。
2010年6月27日 午後1:16

私がビブリオバトルという言葉を目にした(気づいた)のは、岡部さんのこのツイートが最初であり、私とビブリオバトルとをつなげることになったきっかけとなったひと言である。

図書館とビブリオバトルとの関係を振り返ってみると、図書館業界の関係者で早い段階でビブリオバトルについて言及していたのは、山中湖情報創造館の丸山高弘さん (2010年1月12日)や、三津石智巳さん (2010年1月21日)や、カーリル (2010年4月14日)などである。検索してみると、こんなツイートが確認できる。

けれども私は丸山さんのツイートにも三津石さんのツイートにもカーリルのツイートにも、それぞれが投稿された時点では見過ごしてしまっていて気づくことができなかった。

私はその1年半後の2011年11月にビブリオバトル普及委員会に加入し、その活動に関わり始めるようになるのだけれど、岡部さんのこのひと言がなかったら、ビブリオバトルに関与するタイミングがもう少し遅くなっていたと思う。

そしてもしかしたら、ビブリオバトル普及委員会に加入することもなかったかもしれない。

びぶりおばとる面白えー。巧いなあこの話者!おれもやってみたい。
2010年6月27日 午後1:24

「面白えー」「おれもやってみたい」というように、率直な反応をツイートするのが岡部さんらしいツイッターの振る舞い方で、そのときにタイムラインを眺めていた私の好奇心を強く刺激してくれている。

岡部さんはその後に『トップランナーの図書館活用術:才能を引き出した情報空間』というおもしろい本を書いたりもするのだけれど、あちこちの楽しそうなことに首を突っ込んでみては、その楽しい部分をしっかりと抽出してうまく言語化してくれる力がある人である。

図書館業界にこういう人がいてほんとうに良かったと思う。

ビブリオバトルに参加していた人

そして同じ日に、岡部さんは次のようなツイートもしている。

今日,京大のシンポで「ビブリオバトル」ってのを見てきて超おもしろかったんだけど,alisってすごくそれ上手く使えそうじゃないかなーとかなんとか (#alis_lib live at http://ustre.am/jTiV)
2010年6月27日 午後4:41

岡部さんの言う「京大のシンポ」というのは、京都大学大学院情報学研究科同窓会主催の「超交流会2010」である。そのなかのプログラムの一つとして、ビブリオバトルを考案した谷口忠大さんが「ビブリオバトル・フェスタ2010:本の未来」を企画していたらしい 。

このビブリオバトルには、アカデミック・リソース・ガイドの岡本真さんがバトラーとして参加している。岡本さんについてはまた別の機会に書くことになるけれど、私が岡部さんのツイートでビブリオバトルという取り組みにぐいっと引き寄せられたのは、岡本さんがこのときに出場していたことも影響している。

岡本さんが関わっているイベントの様子に、岡部さんがやけに好意的な反応をしている。「岡本さんが絡んでいることなら、岡部さんが楽しんでいることなら、それはきっとおもしろいことなのだろう」「これは自分にとってもきっと良いことなのではないか?」と思いながらタイムラインを眺めていた。

ツイッター上でしか情報を把握してないので、このときの会場の様子を私はまったくわかっていない。実際にどんなゲームなのかはわからないけれど、岡本さんはきっとビブリオバトルというものの本質を理解してそれに参加していているんだろうし、会場で観戦している岡部さんもそれを楽しんでいるんだろう。そういう様子がツイートからも伝わってくる。目に浮かぶ。

私が実際にビブリオバトルを体験するのはもうちょっと後の話になるし、谷口さんと面識を持つようになるのはさらに先の話になるのだけれども、ビブリオバトルというゲームの存在を知ることができたこの日は、私の人生におけるターニングポイントになったのである。

「おもしろい」とか「楽しい」とか、そういう言葉は人を動かす力がある。「おもしろい」ものを見たときに、すなおに「おもしろい」と言葉にすることができる人がいるというのはとても大事だと思う。後に私はビブリオバトルの普及活動という取り組みに関与するようになるわけだけれども、自分の信頼している人たちが「おもしろい」と言っているものをすなおに受け止めたことが今につながっている。

改めてあの日のことを振り返ってみても、たまたまツイッターを眺めていてほんとうに良かったと思う。ビブリオバトルを知ることができてほんとうに良かった。

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