図書館総合展でビブリオバトル
2020年と2021年はCOVID-19の影響でオンライン開催になってしまっているが、図書館業界で最大規模の展示会であり、毎年多くの企業ブースが並び、さまざまなテーマでフォーラムが開催されている。
ビブリオバトルが図書館業界において知名度を飛躍的に高めることになった「Library of the Year 2012」の会場にもなったり、2014年から2020年まで続けてきた「ビブリオバトル・シンポジウム」でも、2015年(コミュニティをつくるビブリオバトル)、2017年(教育におけるビブリオバトルの活用を考える:社会教育・学校教育・地域社会)、2018年(出会い)、2019年(主催側の機能)、2020年(ちいさいコミュニティ)については、図書館総合展のフォーラムのひとつとして位置づけていただいている。
広報や集客を考える上で、図書館総合展との協力関係を得られたことは、ビブリオバトル普及委員会にとってとてもありがたいことだった。
図書館総合展でビブリオバトルをやってみる
図書館総合展のなかでもっとも早くにビブリオバトルを話題にしてもらったのは、「Librayr of the Year 2012」よりもさらに1年前の2011年11月のことである。
ランチタイムセッションという企画のひとつとして、ビブリオバトルが行われたのだ。
このときに登壇したバトラーは以下の4名である(肩書きは当時のもの)。
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佐藤翔(さとう・しょう)筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士後期課程(当時)
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丸山高弘(まるやま・たかひろ)山中湖情報創造館指定管理者館長
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石道尚子(いしどう・なおこ)大阪府男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)情報ライブラリー
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常川真央(つねかわ・まお)筑波大学図書館情報メディア研究科博士後期課程1年次
図書館総合展で行われた初めてのビブリオバトルのチャンプ本は、佐藤翔さんが紹介したピアス・バトラーの『図書館学序説』という本である。
ランチタイムには休憩コーナーの近くで「知的書評合戦 ビブリオバトル」が開催されました。写真は優勝した佐藤翔さんで、紹介した本はピアス・バトラーの「図書館学序説」です。なんでも絶版になってしまった本なのだそうですが、多くの人に読みたいと思ってもらえる本なので、ぜひ復刊してほしいですね。
こちらは図書館学の古典にもなっている本なので、図書館総合展の場で改めて注目が集まったのはおもしろい結果だったと思う。
図書館総合展のなかでビブリオバトルを行うという流れは、2014年以降は帝京大学メディアライブラリーセンターが主催者となり、「全国大学ビブリオバトル」地区決戦の開催という形で続けられることになる。
毎年恒例の「全国大学ビブリオバトル」は、全国各地さまざまな会場で分散して予選会を開催しているが、図書館総合展はその会場のひとつとして継続的に機会を提供していただいている。
この頃になると図書館でもビブリオバトルをするということも珍しいものではなく、よく見られる光景になっていたと思う。
2015年の「ビブリオバトル・シンポジウム2015」では、ディスカッションを目的とした本編(2015年11月14日)のプレイベントとして、実際にビブリオバトルを実施している。
2015年11月12日のことである。
このときは本編で登壇していただく4名のパネリストに、プレイベントにも出ていただくという形になっていて、ビブリオバトルそのものを楽しむことと、ビブリオバトルについて深く語り合うことの両方を図書館総合展の会場で実現したのである。
これは「ビブリオバトル・シンポジウム」を図書館総合展で行うという企画を考えるなかで、いかにしてビブリオバトルが話題になる頻度を高めるかという工夫でもあった。
そして同じ年の「Library of the Year 2015」を客席から見ていて、私はこんなことをつぶやいていた。
「Library of the Year 2012」の時点ではビブリオバトルはすばらしい活動として大きな評価を得た。
そこから3年という時間が経ってみると、ビブリオバトルは当たり前の風景になっていたことがわかる。
2015年頃には、図書館でビブリオバトルをすることが当たり前の風景になっていたのだ。
そしてビブリオバトルと図書館が近づいていく流れをつくってきた背景には、2011年の図書館総合展のランチタイムセッションの影響があったと思う。
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