「Bibliobattle of the Year」という仕組み
「Bibliobattle of the Year」のこと
ビブリオバトル普及委員会では「Bibliobattle of the Year」という賞を設けている。
その目的は「ビブリオバトル普及委員会では、ビブリオバトルに関わるユニークな活動を発見しそれらの活動を多くの人に周知することで、全国の活動を盛り上げていくこと」にあり、以下の4種類の賞を授与している。
-
優秀賞(対象:普及委員会内外問わず、顕著な活動を行った個人・団体)
ビブリオバトルの発展に寄与する活動、未来志向の先進的な活動。広く認知された継続的な活動を行った個人または団体の功績に対する賞。 -
特別賞(対象:普及委員会内外問わず、顕著な活動を行った個人・団体)
ビブリオバトルに関連する個性的な活動をした個人または団体の功績に対する賞。 -
新人賞(対象:普及委員会会員)
新規に本会の会員(前々年度の4月1日以降になった者)の顕著な活動に対する賞。 -
大賞
優秀賞の中で、ビブリオバトルの発展に最も寄与した活動を行った個人または団体の功績に対する賞。
ビブリオバトルという活動をより一層普及するためには、「褒められるべき活動はしっかり言葉にして褒めておきたい」という思いから始めたものである。
「Library of the Year」からの学び
これは先行する「Library of the Year」(2006年〜)という取り組みに倣っているところもあって、ビブリオバトルの活動自体も2012年に大賞を受賞した実績を持っている。
「Library of the Year」のコンセプトは「良い図書館を良いと言う」もので、その年の抜きん出た図書館的活動を表彰する過程で、その「良い」という取り組みを言語化しようとする仕組みである。
「Library of the Year」を通じて、突出した図書館的活動というものは実に多様であり、その後の図書館業界にも影響を及ぼすことが見えてくるようになった。
このあたりの話は、私が2015年に『ライブラリー・リソース・ガイド』の第13号の特集記事にまとめている。
私は個人的に2011年から「Library of the Year」には選考委員として関わっていて、この仕組が常々おもしろいと感じていた。
こういう風に何らかの活動を「良い」と評価して褒め合う文化はビブリオバトルの普及活動にも応用できる。
ビブリオバトルはおすすめする本のことを褒める書評ゲームだが、ビブリオバトル普及活動は「ビブリオバトルを普及する人や機関」を褒め合うこともできる。
ビブリオバトルというゲームを楽しむことと、ビブリオバトルというゲームを広める活動とは異なる話なのだ。
図書館の「良い」を褒めることと同じように、ビブリオバトル普及活動の「良い」ところも積極的に言語化しておきたい。
2016年から2020年にかけての「Library of the Year」の選考委員長を務めてきた秋田県立図書館長の山崎博樹さんが、過去に審査員を務めたときに、評価のポイントとして「真似ができること」というのを挙げていて、私はこういうものの見方がとても気に入っている。
「良い」活動とは他者が真似ができること。
ビブリオバトルの普及活動というのも、ほかの人たちが実践しているおもしろい取り組みを真似してみればいいのだ。
それぞれの機関の「良い」ところを評価するというのは、次の時代のさらなる「良い」活動を生み出すことにつながると信じている。
「Bibliobattle to the Year」過去の受賞記録
そして「良い」ことを言語化した内容は、記録としてしっかり残しておきたい。
これは後々にビブリオバトルの普及過程を検証し直すことにも通じると思う。
2016年から開始しており、これまでに以下の人物/機関が大賞を受賞してきている。
2016年優秀賞(7件)および大賞
https://www.bibliobattle.jp/bibliobattle-of-the-year/2016/award
https://www.bibliobattle.jp/bibliobattle-of-the-year/2016/grandprize
-
山本弘
-
宮城教育大学ビブリオバトルサークルBIBLion
-
BiblioEi8ht
-
天満橋ビブリオバトル
-
生駒市図書館と生駒ビブリオ倶楽部
-
益井博史さんとソロモン諸島のみなさん ※大賞
-
坂本那香子さんと紀伊國屋書店シンガポールリャンコート店
2017年優秀賞(5件)および大賞
https://www.bibliobattle.jp/bibliobattle-of-the-year/2017/award
https://www.bibliobattle.jp/bibliobattle-of-the-year/2017/grandprize
-
株式会社有隣堂 ※大賞
-
東京図書館制覇!
-
神戸町立下宮小学校
-
奈良県立図書情報館ビブリオバトル部
-
くまもと森都心プラザ図書館
2018年優秀賞(5件)および大賞
https://bibliobattle-award2018.mystrikingly.com/
-
草津市立市民交流プラザ ※大賞
-
SF文学振興会
-
NHKジャーナル「対決!ミニ・ビブリオバトル」
-
一宮市立中央図書館
-
ビブリオバトルの児童文学作家5名(赤羽じゅんこ・おおぎやなぎちか・濱野京子・松本聰美・森川成美)
2019年優秀賞(4件)および大賞
https://bibliobattle-award2019.mystrikingly.com/
-
佐世保市立図書館 ※大賞
-
上田市立塩田西小学校ビブリオバトルクラブ
-
天満橋ビブリオバトル
-
オトナのビブリオバトル in DANDELION
2020年優秀賞(3件)および大賞
https://bibliobattle-award2020.mystrikingly.com/
-
NBCラジオ「ラジオDEビブリオバトル」 ※大賞
-
大阪府教育委員会
-
ツアービブリオ
2021年優秀賞(3件)は確定で大賞決定はこれから
https://bibliobattle-award2021.mystrikingly.com/
-
生駒市図書館と生駒ビブリオ倶楽部
-
『英語でビブリオバトル実践集』執筆者
-
ビブリバトルin八戸
それぞれの年で多様な活動が誕生し、それが次の時代のスタンダードになっていることがわかる。
受賞機関の一覧を見返すと、2016年は個人(益井さん)の活動とそれに関わった人々、2017年は書店、2018年は文化交流施設、2019年は公共図書館、2020年はラジオ放送がそれぞれ大賞を受賞しており、ビブリオバトルの多様な活動が見えてくる。
大賞だけではなく、優秀賞や特別賞の顔ぶれも実に多様で、子どもから大人までいろいろな人たちに楽しまれていることがわかる。
ありがたいことに、「Bibliobattle of the Year 2021」では皇學館大学ビブリオバトルサークル「ビブロフィリア」も活動10年と三重県教育委員会との協力関係が評価されて特別賞をいただくことになった。
(私自身はBiblionbattle of the Yearの選考過程にはいっさい関わっていないので、受賞連絡が届いて始めて知ることになった。)
同じような活動を継続することで、その団体らしさというものが見えてくるのだなと改めて感じたできごとだった。
Bibliobattle of the Year 2021 大賞投票を受付中!
現在、「Bibliobattle of the Year 2021」の大賞を選ぶ投票を実施しています(宣伝です)。
こちらはビブリオバトル普及委員会の会員以外の方からの投票もできますので、ぜひご参加ください!
https://bibliobattle-award2021.mystrikingly.com/
すでに登録済みの方は こちら