文学館でビブリオバトル

ビブリオバトルはいろいろな立場の人たちがさまざまな場所で楽しむことができる。図書館での開催もずいぶんと増えてきたけれど、文学館という施設で行われているビブリオバトルはどのくらいあるのだろうか、という話。
岡野裕行 2021.09.27
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文学館とは何か

文学作家の資料を収集・保存・公開している文学館という施設がある。

作家の直筆原稿、書簡、遺品などを収集していて、さまざまな展示会を行ったりしている。近代文学研究のための資料調査にも欠かせない施設である。

全国各地につくられていて、1995年に全国文学館協議会という業界団体も発足している。

加入館一覧を見ると、現時点で104機関の加盟があるようだ。

文学館は私自身の博士論文のテーマでもあり、20年くらい前には全国各地の文学館の動向をいろいろと調べたりしてきた。
私が個人的に作成した文学館一覧もあって、現在は作業が追いつかなくなってしまったので更新を止めてしまっているのだけれど、一時期はこまめに手を入れていた。

図書館内に併設された展示室や、作家の住居など、規模の大小でずいぶん運営の仕方も異なるけれど、それらをすべて含めるとその数は増えてくる。
これらの施設は、それぞれの地域の観光資源としても活用されることが多い。

日本の近現代文学が主な資料収集の対象となっているため、文学作品を読むことや文学作品に触れることも視野に入れた活動を行っている。

それぞれの文学館では展示会だけではなく、講演会や読書会なども行っている。

ビブリオバトルをやってみた文学館

日本で最初にビブリオバトルを実施した公共図書館は奈良県立図書情報館で、2011年3月13日のことだった。

その後、「Library of the Year 2012」の大賞を受賞したこともあって、ビブリオバトルを図書館で実施する事例は随分と増えてくるようになる。

では文学館でビブリオバトルはどれくらい行われているのだろうか。このあたりを調べてみると以下のような事例が見つかる(時系列順)。

上にまとめたのはそれぞれの文学館の初開催のものばかりなので、継続的に実施している文学館では最近でも実施事例が見つかる。

会議のなかでビブリオバトルに言及している議事録も見つかる。

文学館が主催して開催しているものもあれば、ほかの主催者がビブリオバトルを企画して文学館は会場提供というコラボレーションの形態もあるようだ。
ビブリオバトルを行う場所として文学館の空間が活用されるようになるのは、本に関わっている施設であることを考えれば当然のことのようにも思えるし、こういった来館者の参加型イベントが増えてきたというのも、ビブリオバトルが登場して以降のできごとであることを考えると、文学館の新しい機能が拡張されてきたとも言える。

ビブリオバトルに取り組む文学館は今後も増えていくのではないか、という予感がする。

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